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がんとアポトーシス [がん]

アポトーシスという自然な「細胞の死」の形態がある。
ウイルスや細菌感染、火傷などの外的要因により寿命を迎える前に死んでしまうのではなく、細胞の中でその細胞が果たすべき役割を果たせなくなる変異が起こったり、機能を果たせないほどに細胞の老化が起こったりした時に、細胞はアポトーシスという死の形態を選択する。
この細胞の死の選択が、がん細胞と正常細胞の大きな違いの一つであり、がん細胞は自らがその臓器や組織の中で果たすべき役割を果たせなくなっても、アポトーシスを逃れて生き残るように変化( 変異 )していく。
アポトーシスは普通の細胞が迎える自然な死のパターンであり、けっして無駄死にではない。例えば、60兆個の細胞からなる人体では、毎日数千億個の細胞が死に、数千億個の細胞が新しく生まれることで生命維持のバランスをとっている。アポトーシスで死んでいく細胞は、新しく生まれてくる細胞が生きていくために必要な成分をしっかりリレーションしてから死んでいく。
たとえば赤血球のヘモグロビンに含まれる鉄。120日の寿命を迎えた赤血球は細胞膜の弾力が失われ、脾臓のネットに引っ掛かってしまい、1時間に約100億個破壊されてしまう。しかし、ヘモグロビン中の鉄はマクロファージに捕食され、骨髄で新しく生まれる赤血球に供給される。鉄は非常に大切なミネラルだが、このメカニズムがあるおかげで、私たちはポパイのようにホウレンソウを毎日のように食べなくともすんでいる。
がん細胞になると、この献身ともいうべき死の形態を忘れたように振舞う。それどころか、アポトーシスで死んだ仲間の細胞がいたスペースを埋めるようにして増殖する。

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