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細胞周期( cell cycle ) [がん]

一つの細胞は二つに分裂し、通常の機能を果たし、そして再び細胞分裂の時期を迎える。
この分裂終了時点から、再び分裂を終了する時点までを「細胞周期」という。細胞( cell )の分裂に関する周期( cycle )なので cell cycle と呼ばれている。
細胞周期は大きく、G1期→S期→G2期→M期の4つの時期に分類される。それぞれの時期について確認してみよう。

1.G1期:合成準備期
この時期の細胞は、休んでいる訳ではない。むしろその細胞が持っている果たすべき機能を遂行している時期といえる。胃壁の細胞であれば胃液を分泌し、肺胞の細胞であればガス交換を行っている。ほとんどの正常細胞の多くはこのG1期に存在している。
特に、分裂とは直接関係していないこの時期を、G0期と別建てで表しているテキストも多い。
G1期から、次のS期に入る直前にRポイント( restriction point )という細胞周期に関する重要なチェックポイントがあり、前回記載したその細胞が分裂に適しているかどうかの入念なチェックが行われる。
チェックが正常に終了すると、細胞周期に関連するサイクリンやサイクリン依存性キナーゼと呼ばれるタンパクの仲間達が次々と作られ(転写され)ていく。この時、E2Fという転写因子が核膜を越え、DNAの転写開始位置に侵入して行き、細胞周期を完遂させるために必要なタンパクを転写させる。
分裂に対して、十分な準備ができていないと判断した時には、前出の遺伝子の守護神 p53 が、RBタンパクに指令を届けさせて、E2FのDNA侵入を阻止させる。
Rポイントを越えた細胞は、見事二つの細胞に分裂できるか、途中のチェックポイントにかかってアポトーシスを起こすか、二つに一つの選択しか残されていない。

2.S( synthesis )期:合成期
ここで合成されるのは、DNAだけではない。細胞が生命を維持するために必要な細胞内小器官(ミトコンドリア、リボソームなど)やタンパクなど、すべてが複製される。

3.G2期:分裂準備期
十分にその組織で機能できない細胞が分裂することは危険なことでしかない。
細胞は分裂する前に、この準備期でS期で複製したDNA、細胞内小器官、タンパクなどが正常に機能できるものかどうかをこの時期で入念にチェックを入れる。欠陥のある細胞はここでアポトーシスで死ぬ。

4.M( mitosis )期:分裂期
G2期でのチェックが終わった細胞は、ここでようやく二つに分裂できる。この時期も大きく4つにわけることができる。
前期;この分裂期以外のDNAは、核膜の中で溶けている状態なので光学顕微鏡では観察しにくい。分裂期に入ったDNAは、1セット46本の染色体が2セット(92本)複製されて、凝縮している状態で観察されるようになる。
中期;前期で凝縮した染色体は、46本ずつの1セットずつの2グループになり、細胞の真ん中の赤道面とよばれる部分に集合する。それぞれの染色体の中央には、セントロメアと呼ばれるくびれがあり、そのセントロメアに微小管と呼ばれるタンパクが結合する。
後期:微小管を形作るチュブリンと呼ばれるタンパクは、北極、南極に相当する部分に存在する中心小体というタンパクの集合体を足場にして、染色体を両極に引っ張り始める。
こうして、染色体は二つの細胞に分配されるべく移動を開始する。
終期:染色体や細胞内小器官が、二つの細胞になるべく両極に向かって移動が終わると、新しい二つの細胞の間にくびれができる。このくびれが、どんどん縮んでいき、やがて完全に無くなり、細胞分裂が終了する。

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