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がん抑制遺伝子、がん遺伝子 [がん]

遺伝子はタンパクの設計図である。
遺伝子RBがDNAからmRNAに転写され、リボソームに運ばれて、翻訳されることでタンパクであるRBができあがる。
RBタンパクは、がん発生のメカニズムの研究の過程で、1986年に最初に発見されたがん抑制遺伝子だった。このタンパクは、網膜芽細胞腫(Retinoblastoma)という小児に多い悪性腫瘍の原因遺伝子として見つかった。
その後のアポトーシスなどの研究から、このタンパクは正常細胞では細胞周期のG1期で働き、前出のRポイントでチェックが終了するまでS期に進行しないように止めているタンパクであることが解った。
網膜芽細胞腫の症例では、正常なRBタンパクが作られておらず、G1後期の細胞周期でのチェック機構が十分に働かずに、この悪性腫瘍が進行してしまう。
細胞分裂は、時に危険な行為であることについて触れた。ゆえに正常細胞には、必要に迫られた時にはその危機を回避すべく早く正確に分裂する仕組みと、必要がない時には無駄に分裂しない仕組みが備わっている。
よく研修で話すたとえだが、私たちが採血する時に、皮膚を貫通して一番確保しやすい静脈まで注射針を挿入する。細胞は、1ミリ㎥の中に約100万個存在する。注射により、この数に近い細胞が皮膚から血管内皮まで損傷しているはずだが、だいたい15分もあれば出血は抑制される。
この時、皮膚の増殖を促しているタンパクが上皮増殖因子(EGF)、血管の修復を促しているタンパクが血管内皮増殖因子(VEGF)であり、損傷をすばやく修復するとすぐに分泌が止まる。
この細胞の増殖を促すタンパクが、研究の初期にがん遺伝子と名付けられたもので、私たちの健康な生命維持にかかせない役割を果たしている。

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